『河童』

芥川龍之介  皆さま、こんにちは。

今日は芥川龍之介の『河童』について、感想を綴りたいと思います。

物語の語り手は、精神病院に入院している男性です。彼はある日、山中で河童に出会い、不思議な「河童の国」へと迷い込み、そこで生活を始めます。その世界では、人間社会とは逆さまのような制度や価値観が次々と登場し、私たちが“当たり前”だと思っている常識を覆していくのです。

たとえば、印象的だったのは、子どもが生まれる前に「この世に生まれてきたいかどうか」を、お腹の中の子どもに尋ねるという場面です。人間社会では考えられないようなやりとりに、衝撃を受けました。子どもは父親の年収や性格などを面接官のように質問し、生まれてくるかどうかを判断するのです。その様子には思わず、ふふふと笑ってしまいました。

また、河童の世界では、失業者が働かなくても生きていけるために、尊敬されているなど、人間の道徳とは真逆の価値観が存在しています。そこでは、人間の“善悪”は通用しません。

そして、語り手が精神病院の入院患者であるという設定にも、大きな意味を感じました。

おかしいのは語り手なのか、それとも私たち人間社会なのかと問われているようです。

この物語のユーモアは、単なるおかしさだけではありません。人間社会の歪みや弱さに対する鋭い批判が含まれているのを感じました。読み終えた後には、何とも言えない余韻が残ります。そしてまた、読み返したくなる不思議な魅力がありました。

『河童』は大正末期に書かれた作品ですが、その内容は今の時代にも通じるものがあると感じました。格差、働く意味、生命の尊厳、そして自己と社会の関係など。

皆さまもぜひ一度、『河童』の世界を旅してみてはいかがでしょうか。

今日も笑顔で素敵な一日をお過ごしくださいませ。

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