太宰治 昭和22年、戦後の混乱期に発表されている。子どもたちから最後の貴婦人と呼ばれていた母、姉のかず子と弟の直治の貴族としての生活から、民衆となる苦悩を愛と共に描かれていいた。貴婦人として生活をしている東京では、母がスープを飲むしぐさが
かわいらしく上品であることが伝わってくる。そしてお金が底をついてくると、東京の家を売り、伊豆へと一家は引っ越す。直治は、酒や、女、麻薬にも手を出し、堕落した生活を送る。そして、姉のかず子も直治が世話になっている上原に一度キスをされて、恋に落ちてしまう。そのような中、母は結核にかかり死んでしまう。かず子は念願かなって上原との一夜を過ごす。その時に直治は自殺をしてしまう。遺書には、母や姉への愛と、人妻を愛してしまったことの苦しみ、そして自分が、民衆になるための「切符」を得るために酒や麻薬にも手を出したことなどが切々と書かれていた。そして、母も弟も死んでしまったかず子は上原にも捨てられる。しかし、上原への最後の手紙で、上原の妻に、自分の赤ちゃんを抱かせてくれと頼む。かず子はこれが自分の生き方、愛する上原の子供と二人古い道徳と戦い、太陽の様にに生きると綴られていた。
様々な苦悩が作品から心に入り込み、つらい内容だったが、最後に力強くたつかず子の姿から、私自身も「これが私の生き方だ!!」と勇気と力をもらった気がした。
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